歯周病は糖尿病のサイン?
歯周病は口の中のみならず、全身の健康と関わりがあります。その中で最も深い関係にあるものの一つが糖尿病です。
糖尿病は、自覚症状がないまま進行して、神経障害や網膜症、腎炎などの重篤な合併症を併発する恐ろしい病気です。糖尿病の人は、そうでない人に比べて歯周病にかかる確率が2〜3倍になるといわれています。
なぜ糖尿病にかかると歯周病にかかりやすくなるのでしょう。主に次のような理由があげられます。
- 体の抵抗力が下がる
高血糖状態になると、体内に侵入してきた細菌を食べる白血球細胞(好中球)の働きが鈍くなるため、細菌に感染しやすくなります。そのため、歯周病菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
- 口の中が乾燥する
糖尿病になって血糖値が高くなると、体は血液中のブドウ糖を水分とともに排出して濃度を下げようとするため「頻尿」が起こります。ところが、体に必要な水分まで排出されるので、口の中が乾燥してしまうのです。唾液が少なくなると、食べかすや細菌を洗い流す作用が弱まり、歯周病菌の増加を許してしまいます。
生活習慣を見直して歯周病と糖尿病から身を守ろう
反対に歯周病が血糖値の上昇を招く可能性もあります。
歯周病が進行して硬いものが食べられなくなると、やわらかい食べ物を好むようになり、よく噛まずに飲み込んでしまいがちです。
早食いをすると血糖値が急激に上がるため(血糖値スパイク)、糖尿病を発症するリスクが高まります。
また、歯周病菌は歯肉から血管内に侵入して、全身に毒素を撒き散らします。歯周病菌は血液中に入るとほとんど死滅しますが、死ぬときに「内毒素(細胞の内部に溜め込んでいる毒物)」を放出します。この内毒素が血糖値の上昇を招きます。
血液が内毒素に侵されると、歯周病菌と戦う免疫細胞のマイクロファージによってTNF-α(腫瘍壊死因子)が産出されます。
このTNF-αには、血液中の糖分の取り込みを抑える作用があるので、血糖値を下げるインシュリンの働きを邪魔してしまうのです。その結果、血糖値が上昇してしまいます。
だらだら食いや甘いものを好んで口にする食習慣、喫煙は歯周病だけでなく、糖尿病にも悪影響を及ぼします。
規則正しい食生活を心がけて、歯周病と糖尿病の負の連鎖を断ち切りましょう。