虫歯を生み出す真犯人とは?
漢字のせいでしょうか。それともイラストやアニメーションの影響でしょうか。「虫歯」と言うと、なにか悪い虫やバイキンたちが歯を削っていくようなイメージがあります。
実際は、虫歯菌そのものが歯を攻撃しているわけではなく、菌の働きによって生まれる「酸」が真犯人。この酸によって歯が溶けている状態を「虫歯」と呼ぶのです。
大人の口の中には、300~700種類の細菌が生息しているといわれています。そのうちの数種が「虫歯菌」と呼ばれ、なかでも代表的なのは「ストレプトコッカス・ミュータンス」という、思わず舌を噛んでしまいそうな名前をしています。
ちなみに、顕微鏡で拡大してみると、このような丸い形状をしています。細かく動いている黒くて小さな点が虫歯菌、細長い形状のものは歯周病菌です。
プラークをアジトに活動を拡大
虫歯菌は私たちの口の中の汚れや食べかすから糖質(ショ糖)を分解して、白くてネバネバとした「プラーク(歯垢)」というかたまりをつくります。これが温床になり、虫歯菌はさらに繁殖していきます。
通常、私たちの口の中はpH(ピーエッチ)7.0前後の中性の状態です。食事や飲み物によって酸性に傾くこともありますが、普通はだ液のはたらきで中性の状態に保たれます。
ところが、虫歯菌が口の中で活動をはじめると酸が生産され、もともと中性だった口の中は酸性に傾いて、歯の表面にある白っぽい「エナメル質」を溶かしていきます。
格好の活動の場所を手に入れた虫歯菌は、削る部分がなくなるまで口の中で活動を続けます。その結果として作り出される酸が、どんどん歯を溶かしていく。これが虫歯のできる仕組みです。
つまり虫歯を防ぐには口の中を中性に保つことが重要。そのためには、歯磨きで口の中に残ったプラークをきちんと取り去っておくことが大切です。
また、だ液が正常に分泌されていることも重要なポイントです。このだ液のすごい力についてはまた別のコラムで紹介させてもらいますね。