神経を抜いた歯はなぜ変色するのか
虫歯の治療で歯の神経を抜くと、だんだん黒ずんでいきます。笑ったときに1本の歯だけが変色していると、かなり目立つので気になってしまいますよね。
そもそも、どうして神経を抜いた歯は黒ずんでくるのでしょう。歯の神経を抜くと、血液が循環しなくなって代謝が落ちてしまいます。そのため歯に栄養が行き渡らなくなり、時間の経過とともに変色してしまうのです。
特に虫歯の治療をしていなくても、スポーツなどで歯を強くぶつけたりすると、その衝撃で神経が死んでしまうことがあります。
このように神経を抜いた歯や神経が死んだ歯のことを「失活歯(しっかつし)」といいます。生きている歯(生活歯)と失活歯とでは、変色する原因が異なります。そのため、同じホワイトニングのやり方は適用できません。
失活歯の黒ずみは歯の内部で起こっているので、従来の外側からアプローチする方法では白くならないのです。
失活歯を白くできる「ウォーキングブリーチ」
そう聞くと「神経を失った歯はホワイトニングを諦めるしかない」と思うかもしれません。安心してください。失活歯を白くできる「ウォーキングブリーチ」という方法があります。
ウォーキングブリーチとは、歯の内部に漂白剤を注入して白くする施術です。歯の中にホワイトニング剤を入れて仮の蓋をして、1週間〜10日ほど待ちます。それを何度か繰り返し、好みの白さになったところで中身の薬剤を取り出し、正式な蓋をします。
歯の中に薬剤を詰めている期間は普通の生活ができていることから、「歩きながら漂白する」という意味でウォーキングブリーチと名付けられました。
効果的な手法ですが、リスクもあります。歯の中に入れた漂白剤の反応でガスが発生して圧がかかり、歯が割れやすくなるので注意が必要なのです。取り替えの期間などはきちんと守りましょう。
ウォーキングブリーチは手間がかかるため、手がけている歯科医は少ないのが実情です。この処置を検討したい方は、事前に問い合わせをすることをおすすめします。