歯と心臓の意外な関係
歯周病は全身疾患と深い関わりがあります。日本三大疾病の一つである心疾患も(心臓病)例外ではありません。
歯の病気と心臓病。この二つは全く関連性がないように思えますが、実は密接な関係にあるのです。
血液は心臓のポンプ機能によって、1分間で全身を一回りします。歯周病菌は歯肉から血管に入り込み、心臓にたどり着くと、弁に巣くって悪さを働くのです。
一口に心臓病といっても、種類はさまざまです。その中で、歯周病に起因すると考えられている病気に「感染性心内膜炎」があります。
- 感染性心内膜炎とは
心臓の内壁を覆っている膜(心内膜)や弁膜に細菌などが感染して炎症を起こす病気です。発症すると、発熱や動悸、食欲不振、関節痛などさまざまな症状が現れます。
初期症状が風邪に似ているので見逃しやすく、悪化すると弁膜が破れて心不全などを起こして死に至るケースもある恐ろしい病気です。
この病気の原因の一つとなるのが、歯周病菌の原因菌である「アクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンス」。この舌をかみそうな長ったらしい名前の細菌が、歯槽骨を溶かす毒素の持ち主です。心臓に入り込んだ歯周病菌が弁に付着することによって、内膜炎を引き起こすことが明らかになっています。
歯の健康は全身の健康の原点
たかが歯の病気で死ぬことはないと考えている方も多いかもしれません。しかし、歯周病菌は口の中にとどまらず、血液を通じて全身に影響を及ぼします。しかも、菌が死滅しても体内に毒素が残るので厄介です。
最近の研究では、心臓病や糖尿病だけでなく、脳卒中や肺炎、早産や低体重児出産などにも関連があることがわかってきました。
口腔内を清潔に保つことは、歯周病のみならず体全体の健康につながります。自分の大切な体を守るためにも、適正なケアをして口内環境を整えましょう。