保険診療の限界
日本では「歯科治療が保険の範囲内で受けられるのが当たり前」という考えが根強いので、自費治療のみのクリニックは金儲け主義だと思われがちです。
しかし、決してそうではありません。私自身は受診者にとってベストな治療方法を突き詰めた結果、自費診療オンリーという答えに行きつきました。
そもそも、現在の保険制度は1961年(昭和36年)にできたもので、時代にマッチしているとは言えません。
保険診療は、誰でも同じ費用で治療を受けられることを目的としています。裏を返せば、必要最低限の治療をすることが前提で、一人ひとりに応じたきめ細やかな対応をすることは不可能なのです。治療機器・使用材料のクオリティもかなり低めに設定されています。
定期検診は保険でまかなえない
あまり知られていないことですが、病気と認められない治療や処置に対して保険診療が適用されません。予防を目的とした治療はすべて対象外で、歯の定期検診も人間ドッグと同じく自費扱いとなるのです。
なかには「保険で定期検診を受けている」という人もいるかもしれません。しかし、病名がつかなければ、健康保険は使えないのが原則です。どこも悪いところがないのに保険が適用された場合は、なんらかの病名をつける“サービス”があったと考えていいでしょう。
実際、3カ月に1回などの短いサイクルで通院しているのに、毎回虫歯や歯周病と診断されるのはおかしな話です。もし、定期検診を保険診療で受けているとすれば、言い方は悪いのですが、ある意味、保険の不正受給に加担していることになります。
「保険がきくか・きかないか」よりも、自分にとってベストな治療方法は何かを考えて選択することをおすすめします。