CTは口の中の測量士
失った歯に人工の歯根を入れるインプラント治療。100%近い成功率を支えるもののひとつが、治療の前のCT撮影です。
インプラントはあごの骨の中に人工の歯根を入れるため、あごの構造を知ることが不可欠です。CT撮影をしてあごを360度撮影することで、治療部分を立体的に知ることができます。
パノラマレントゲンとの違い
虫歯の診察や抜歯で使われるパノラマレントゲンは、大まかな歯の状態を知ることができます。しかし、2次元的な分析になってしまうため、神経や血管の形を正確に知ることができず、インプラント治療の成功率が下がってしまう恐れがあります。
CT撮影のメリット
1.切開の幅が少ない
口の中を立体的に、より鮮明に撮影できるので、一人ひとり異なる骨の形を事前に確認し、シミュレーションをしたうえで治療ができます。インプラントを入れたい場所の形を正確に知ることができるため、手術のときに歯茎を切る幅が3~4ミリ程度で済み、成功率も高くなります。
2.大事な神経を傷つけない
あごの下には下歯槽神経(かしそうしんけい)という太い神経があります。下歯槽神経は耳のあたりから顎の形に沿って前歯の近くまで伸びている神経です。
インプラントを入れるときに下歯槽神経を触れてしまうと、しびれたような感覚がずっと残ってしまいます。CT撮影で場所を把握することで、神経を避けて手術することできます。
3.骨密度を測定できる
CT撮影で骨密度も測定できます。インプラントは骨としっかり結合する必要があるため、骨密度の低い場合は定着しにくい傾向があります。CTを撮ることで、手術失敗のリスクを事前に回避することができるのです。
CT撮影が治療の成功率を上げる
CT撮影は術前の判断に役立つだけでなく、「切開の幅を短くできる」「大事な神経を傷つけにくい」など、術中のメリットもあげられます。インプラント治療の成功には、CT撮影が欠かせません。