ひと目でわかる「口呼吸」と「鼻呼吸」
虫歯や「開咬」(詳しくは【口呼吸だと歯並びが悪くなる?!】)の原因となる口呼吸。たくさんの患者さんを診療していると、患者さんの顔を見ただけで口呼吸か鼻呼吸かを区別できるようになるものです。
たとえば鼻。日常的に口呼吸をしていると、口の周りの筋肉が衰えて「鼻翼(びよく)」と呼ばれる鼻の先の両端が開いていきます。その結果、全体的に押しつぶされたような、ぺちゃっとした平らな鼻になってしまいます。
・鼻翼が開いている
・鼻全体がつぶれている
・正面から見ると鼻の穴の形がわかる
この3つの項目にあてはまれば、その人は口呼吸をしている可能性が高いと言えます。
口呼吸が歯に及ぼす影響
・虫歯になりやすい
口を開けている時間が長いと、口の中が乾燥してだ液の量が減少します。
だ液が少なくなると、酸で溶けた歯を修復する再石灰化作用が衰えるとともに、口の流れを洗い流すはたらきや粘膜を保護するはたらきも衰えます。
すると、歯の表面や歯肉が乾いて歯垢(プラーク)や歯石が溜まりやすくなり、虫歯になりやすい口内環境に傾いてしまいます。
・歯並びやかみ合わせが悪くなる
歯並びを整えるためには、唇と頬の外側からの筋肉と、舌と咀しゃくの動きを司る内側からの筋肉、その両方のバランスが大切です。
口を開けたままだと口の周りの筋肉が衰えて、筋肉のバランスが崩れてしまいます。その結果、歯並びに悪い影響を与えてしまうのです。(詳しくは【口呼吸だと歯並びが悪くなる?!】)
歯以外の部分にも悪影響が出る
鼻の下には、唇の周りをぐるっと囲むように「口輪筋」という筋肉があります。この口輪筋が、唇の開閉をコントロールして口元の表情をつくっています。
常に口が開いた状態だと口の周りにある「口輪筋」が発達しなくなるため、口輪筋でつながっているあごや唇の形も変わってしまいます。
あごが出ている、たらこ唇である、よだれが垂れやすい。こうした状態も口呼吸の影響かもしれません。
口輪筋はたくさんの顔の筋肉とつながっているため、ほうれい線が出る、二重あごになるなど顔全体に「たるみ」にもつながります。
このように、口呼吸は審美的な視点でも、歯や口から顔全体へ良くない影響を及ぼします。口呼吸を改善して、口内環境も顔の筋肉も美しく保ちましょう。