その日のうちに治療が完成する「CR充填法」
これまでの補綴治療では、詰め物や被せ物の作成を歯科技工士に外注していたため、完成までに時間がかかりました。しかし最近は、技工所を通さずに歯科医院内で詰め物を作成できるシステムがあります。
その一つが、コンポジットレジンを使用した「CR充填法」です。コンポジットレジン(composite resin)とは、プラスチック製の詰め物用素材です。英単語の頭文字を略してCRとも呼ばれます。
CRは元来やわらかいペースト状のものですが、青色の光を当てることによって固まります。CR充填法では、この性質を利用して歯の隙間や欠損部分を修復していきます。
治療にかかる時間は一つの虫歯あたり、わずか10〜15分程度。歯の色に似た白っぽい色をしているので、違和感はありません。短時間で白い歯にできるのがメリットです。
しかし、手軽に治療が完成する反面、変色しやすいという欠点もあります。また、耐久性がやや劣り、汚れも付きやすくなるので、日頃のメンテナンスが重要です。
最新のCAD/CAM(セレック)治療
近年のコンピュータ技術の進歩により、歯科用CAD/CAM機器を使用した「セレック治療」を導入している歯科医院も増えています。
セレック治療とは、口の中を3Dカメラでスキャンすることによって、コンピュータ上で歯の設計を行い、自動的にセラミックの塊を削って歯の詰め物や被せ物を作成するシステムです。歯型を作る必要もありません。
セレックシステムでは1時間程度で詰め物が完成するので、その日のうちに治療を終えることが可能です。セラミック製なので自然な白色に仕上がります。
しかし、最先端の治療になるため費用が高いのが難点です(一部保険適用)。また、セラミック製の補綴物は、硬い反面、強い衝撃があると割れやすい、脆さがあります。
1日で終わる治療は魅力的ですが、デメリットがあるのも事実です。治療期間だけにとらわれず、内容や費用、安全性などを総合的に考えて、ご自身にとって最適な治療法を選択することをおすすめします。