骨が再生するメカニズムとは?
歯周病で溶けてしまった骨を再生することは可能なのでしょうか。理屈からいうと「イエス」です。骨にはもともと生まれ変わる力があります。しかし、従来の治療法では限界があったので、一度支えを失った歯は抜かざるをえませんでした。
なぜうまく再生しなかったのか。その理由は、骨に比べて歯肉の再生スピードのほうがはるかに速いことにあります。
歯槽骨(歯を支える骨)が溶けて隙間ができると、生体防御反応で身体はその穴を塞ごうとします。そこで、成長の速い歯肉細胞がどんどん増えて、骨の細胞よりも先に空いたスペースを埋めていく。そのため、行き場を失った骨は再生することができなかったのです。
失った歯を再生させるエムドゲイン療法
しかし、近年では歯科医療の進歩により、骨の再生スピードを高めることに成功しました。それが「エムドゲイン」という薬剤を使った骨再生治療です。
スウェーデンのビオラ社が開発し、世界40カ国以上で使用されている製品です。日本では、安全性と利便性を高めた改良版のエムドゲインゲルが2002年に厚生労働省の認可を受けています。
エムドゲインの主成分は、子豚の歯ができる過程で重要な役割を果たす物質から抽出したタンパク質の一種です。この薬剤を患部に注入することで、歯周組織の再生を促します。
<治療方法>
1.麻酔をして、歯ぐきを切開します。
2.歯ぐきに埋まっていた部分をきれいに清掃します。
3.エムドゲインゲルを塗布します。
4.切開したところを縫合します。
ただ、エムドゲイン療法を受けたからといって、溶けた骨が完全に元どおりになるわけではありません。また再生に要する時間には個人差があり、歯周病の進行段階によっても異なります。
あなたの骨の組織が再生可能かどうか、まずはエムドゲイン療法を扱っている歯科医院へ相談してみてください。