フッ素とは
今や「虫歯予防にフッ素がいい」というのが常識になりつつあります。しかし、フッ素とはなにか、どうして歯にいいのかについて、具体的に答えられる人は多くないはずです。そこで、フッ素の働きについて取り上げてみました。
そもそもフッ素とはなんでしょう。
フッ素は自然界に広く分布している元素の一つです。決して特別な物質ではなく、食品や水、土壌など、あらゆるものに含まれています。通常単体では存在せず、ナトリウムなどの化合物と結びついたフッ化物として存在します。
私たちが食事をするたびに、虫歯菌が糖質から酸を作り出して、歯の外側にあるエナメル質を溶かしていきます。
このように歯の表面からミネラル分が溶け出す状態が「脱灰(だっかい)」です。脱灰が続くと虫歯が進行していきます。
脱灰や虫歯の進行を抑制するのが、フッ素(正しくはフッ化物)の役割です。フッ素を塗布することで、歯から溶け出したミネラルの再石灰化を促すことができます。さらには、虫歯菌が酸を作るのを阻止してくれる働きもあります。
虫歯予防するのに有効な成分として、市販の歯磨き粉の90%にフッ化物が配合されています。
フッ素は安全なの?
一方で、フッ素の危険性を指摘する声もあります。
過去にアメリカのコロラド州で、高濃度のフッ化物が溶け込んだ水を飲み続けたことによって歯に褐色斑が生じる「フッ素症」になったという報告がありました。
また大量摂取すると、吐き気や腹痛、下痢、心不整脈などの中毒症状をおこす可能性もあります。
しかし、これはあくまで過剰に摂取した場合の話です。一般的にフッ化物の歯磨き粉の使用量では全く問題ありません。通常の歯磨き粉の使用や、3カ月〜半年に1度、歯医者さんでフッ素剤を塗布する程度では全く問題ありません。
適正な使用量を守って、フッ素を虫歯予防に役立ててください。