だ液の持つ大きな役割
成人であれば1日で1000~1500ミリリットルも分泌されるといわれるだ液。
口内環境は「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」の3つのほか、口の中に無数に存在する小さなだ液腺から分泌されるだ液のはたらきによって整えられています。
だ液には「歯の再石灰化を助ける」「プラークを洗い流す」「歯の寿命を長くする」など、口の中を健康に保つうえで大切な役割がありますが、柔らかい食べ物が増え噛む回数の減った私たちは、昔の人に比べてだ液の量が少ないといわれています。
だ液の分泌を促すには、口を大きく動かし、水分の少ない硬い食べ物で噛む回数を増やすことが必要です。
だ液の分泌の促進法は食事以外にもあります。ひとつは「だ液腺マッサージ」で、もうひとつは投薬治療です。
ビタミン剤がだ液の分泌を促進する
だ液の量には個人差があります。2分間つばを出してもらうだ液検査で、2ml出ていると正常だといわれています。多い人は5~7mlほど出ますが、少ない人は1mlを切ることもあります。
だ液が少ない場合、投薬治療によって、だ液量の改善を図ることができます。私の医院で処方しているのはビタミンB2,B6のお薬です。体に負担のかからない水溶性のビタミン剤なので、サプリメントの延長のような感覚で飲んでいただけます。
薬を飲むとじわじわと効果が出てきます。だ液が減少しやすい高齢の方でも、飲み始めて4~8週間程度で口の渇きが改善されました。
だ液の分泌が少ない人のなかには、水分で流し込まないと食べ物を飲み込めない方がけっこういらっしゃいます。薬を飲んだ結果、「頻繁に水分を摂らなくても食事がしやすくなった」という声もあがっています。
ただ、なかには薬を飲むことに抵抗を覚えるかたがいるのは事実です。その場合は「だ液の重要性」を理解してもらい、ガムを噛むことによって分泌を促すなど、人に合わせて治療法を変えています。