子どもは虫歯ができやすい
子どもが痛みや違和感を訴えないから大丈夫だと思っていたら、気付かないうちに穴が空いていた……。子どもの診療をしていると、親の知らないうちに虫歯が進行しているケースのあまりの多さに驚きます。
永久歯に生え変わる前の子どもの歯は、大人の歯に比べて虫歯ができやすいと言われています。主な原因は以下の2つです。
原因1)エナメル質が薄いから
乳歯は永久歯に比べて歯の表面を包む「エナメル質」が薄く、その厚さは約2分の1です。エナメル質は歯の表面が溶ける「脱灰」と元の状態に戻ろうとする「再石灰化」を繰り返しています。虫歯がエナメル質の内部にある「象牙質」まで進行すると、再石灰化のはたらきが機能せず、すぐに神経まで到達してしまいます。
原因2)神経(歯髄)が大きいから
歯全体の大きさは永久歯より小さいのですが、神経(歯髄)が占める割合は永久歯より大きいのが乳歯の特徴です。そのため、虫歯が進行するとすぐに神経まで届いてしまいます。かと言って、必ずしも激しい痛みを感じるわけではありません。子どもは痛みを感じる神経が発達していないので、気付かないうちに重症に陥っているケースが多いのです。
予防&早期発見が大切!
子どもの虫歯には、大人の虫歯と異なる特徴があります。進行すると黒っぽくなる大人の虫歯に対して、子どもの歯は白くなる点です。もし歯の表面が白っぽくなっていたらそれは虫歯のしるし。早めに医師に相談しましょう。
歯と歯の間は虫歯になりやすく、なかでも奥歯はとくに注意が必要なポイントです。歯ブラシだけでなくデンタルフロスを使って汚れを落としましょう。
大人と同じように、子どもの歯にも日常的なケアが欠かせません。歯のクリーニングやエナメル質を強化する「フッ素塗布」、歯を薄いプラスチックでコーティングする「シーラント」など、口内環境や生活習慣に合わせて治療を受けることをおすすめします。