歯並びが悪くなる原因
検診でたくさんの保育園児を診ていると、口で呼吸しているのか鼻で呼吸しているのかは顔を見ただけで区別できるようになりました。
もちろん、口が開いている状態なのでわかりやすいということもありますが、実は人相でも判断できます。子どもの場合は歯並びが崩れているので、特にわかりやすい。口で呼吸することによって歯並びに影響が出るこの症状を「開咬」といいます。
「開咬」は、奥歯を噛み合わせても前歯が噛み合わずに開いたままになっている状態のことです。あごの骨が変形しているから、いくら頑張ってもそれ以上噛むことができません。
食べ物を噛み切れなかったり、正しい発音ができなくなったり。日常生活に支障をきたします。
通常、あごの発育が完了するのは女子なら12、3歳くらい、男子なら14、5歳くらいです。あごの骨格ができあがる第二次成長期までに口で呼吸をしていると、口の周りの筋肉がちゃんと発達せず、舌が突き出してきます。
その力が上の前歯と下の前歯の間に加わり、ぽっかりと穴があいたようになってしまうのです。
「開咬」の治療法
「開咬」の治療では、ブラケットという針金のような矯正装置を使うのが一般的です。ブラケットを歯の表面に接着して、歯を正しい位置に戻すために力を加えます。
ただし、ケースによっては歯を抜くこともあります。もっとも多いのは、前の歯から数えて4番目か5番目の歯を抜く治療です。歯を抜いてスペースをつくり、悪くなった歯並びを矯正していきます。(当院では極力歯を抜かないで治療します。)
本来は、親知らずを除くと、上14本、下14本、合わせて28本の歯で均等に噛み合わせるわけですから、「開咬」を放置していると奥歯だけに圧力がかかり、あごの関節にも負荷が大きくなってしまう。
そのまま放っておくと顎関節症の原因になったり、よく使う奥歯が欠けてしまったりする場合もあるんですよ。
歯並びやあごの骨、口の筋肉など、さまざまなトラブルの原因となる口呼吸。治療が必要になる前に、呼吸の方法を改善するのがベターですね。
口呼吸から鼻呼吸への改善方法としておすすめしているのは「あいうべ体操」です。「あいうべ体操」については、また別の回でくわしくご紹介しますね。