歯の寿命を伸ばす「予防歯科」
1989年、当時の厚生省(現・厚生労働省)と日本歯科医師会が主導となり、28本の歯のうち20本は80歳を過ぎても残そうとする「8020(ハチマルニイマル)運動」が始まりました。
予防歯科の先進国スウェーデンでは、70歳で残っている歯の平均本数は21本。(※引用元http://clinica.lion.co.jp/yobou/new.htm)。対して日本では、2013年の統計によると平均残存本数は14本。その差は歴然です。
虫歯や歯周病になった歯を治療しても、元の状態に戻すことはできません。つまり、年をとっても自分の歯を残すためには「治療」を未然に防いで口内の健康を保つ「予防」が大切なのです。この考えに基づいた治療方針を「予防歯科」と呼んでいます。
クリニックでの「予防歯科」
予防歯科には、クリニックでケアする「プロケア」と自宅でできる「セルフケア」、2つの方向から考えることができます。
クリニックでは、下の3点を重点的にチェックしています。
1.虫歯
虫歯がないか、どのくらい進行しているのかに加え、今まで治療した歯の状態も検査します。一度治療した歯を10年以内に再治療する確率が高いからです。
2.歯周病
歯周病の原因となる細菌の状態を調べます。また、プラークが溜まりやすい歯と歯茎のすき間(歯周ポケット)の深さや歯の揺れの有無、歯石の有無を調べます。
3.クリーニング
自宅での歯磨きで落としにくい部分は、クリニックに行って定期的にクリーニングをしましょう。虫歯菌や歯周病菌の温床となるプラークや歯石、歯の表面に付着しているバイオフィルムという膜を取り除くことで、病気にかかるリスクはぐっと下がります。
予防歯科に欠かせない「歯科衛生士」
予防歯科では口内や歯の状態を把握することがスタートです。口内環境を調査する「だ液検査」や歯磨き指導もそのひとつ。
そこで重要なのが歯科衛生士の存在です。患者のライフスタイルに合わせた適切な診療で、歯を削る、抜くなどの治療が必要ない清潔で健康な口内環境づくりをサポートしています。