最近の子どもはだ液が少ない!
日頃、治療をする中で、だ液が少ない子どもが実に多いと感じています。昔は歯科検診の時に、舌の下のだ液腺から水が噴き出すようにだ液が出る子どもが多かったのですが、今では口の中が乾いている子が増えてきました。
食生活の変化によって「噛まない」食事が増えたことが一番の理由だと考えられます。柔らかい食べ物を口にすることが増えると、口の周りの筋肉が衰え、だ液の分泌量が減少してしまうのです。
3つのだ液腺
だ液が舌の裏から飛び出すのは、舌の下には「舌下腺」というだ液腺があるからです。口の中にはそのほか2つのだ液腺があり、これらを総称して「大だ液腺」と呼びます。それぞれの種類とはたらきをご紹介しましょう。
・耳下腺(じかせん)
耳の下、顎関節付近にあるだ液腺です。奥から2、3番目の歯の近くに直径2~3ミリの突起した箇所があり、舌で触って確かめることができます。分泌されるのは消化を助けるサラサラのだ液(安静時だ液)です。食べ物を噛んだり、あごを動かしたりすることでだ液の分泌量が増加します。すべてのだ液のうち約25%が耳下腺から出ています。
・顎下腺(がくかせん)
すべてのだ液の約70%がこの顎下腺からのだ液です。サラサラのだ液とネバネバのだ液(緊張時だ液)、2種類のだ液が出ています。
・舌下腺(ぜっかせん)
舌の下にあるだ液腺です。細菌から体を守るネバネバのだ液が分泌される場所です。
5つの「小だ液腺」
大だ液腺のほか、口の中には無数の小さなだ液腺が存在しています。種類は口唇腺、頬腺、口蓋腺、臼歯腺、舌腺の5つで、分泌されるだ液はそれぞれ違っています。5つのだ液腺を総称して「小だ液腺」と呼んでいます。
成人1人あたりの1日のだ液分泌量はおよそ1000~1500ミリリットルとされています。そのうちのほとんどが大だ液腺から出るだ液です。多い人だと1.5リットルのペットボトルが一杯になるなんて驚きですよね!
だ液を増やすには3つのだ液腺を刺激する「だ液腺マッサージ」が有効です。自宅で簡単にできるマッサージは別のコラムでご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。